『ペンの光』1ページ目には、会長 田中鳴舟先生の
挨拶文と作品が掲載されています。
この7月号の自由作品部は惜しくも写真版を逃しました
が、鳴舟先生の作品を題材に提出していました。
※出典:菜根譚(岩波文庫)
※用紙:上質紙
※筆記具:つけペン(日光N-日本字 №555)
【書き下し分】
繩鋸(じょうきょ)も木断ち、水滴も石穿(うが)つ。
道を学ぶ者は須(すべか)らく力索を加うべし。
水到(いた)れば渠(みぞ)成り、瓜熟せば蔕(へた)
落つ。
道を得る者は一に天機任す。
【語釈】
つるべ繩も長い間には、のこぎりと
同じく井げたの木を切るし、
あまだれも久しい間には、石に
穴を開ける。
これによっても道を学ぶ者は、努めてねばり強く
求める心がけを持つべきである。
また、水が流れて来ると自然にみぞができ上り、
うりが熟すと自然にへたが落ちる。
これによっても道を悟る者は、全く天の妙機に
任せてその時期を待つべきである。
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🌸水滴りて石を穿つ(水滴石穿/水滴穿石)
微力でも根気よく続けてやれば、遂には成功する
ことの喩え。
『水滴』は一滴の水、『石穿』は石に穴をあける、
の意。
一滴の水でも長い時間を経ると、石に穴をあける
ほど強い力となることから、
何事もあきらめずに根気よく努力すれば、必ず成し
遂げられるという意。
また、小さな力でも集めれば強大になるということ。
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自分を奮い立たせるために心に留めている座右の銘
とも言うべき私が好きな言葉のひとつ
『水滴りて石を穿つ』
一朝一夕とはならない字の上達が正にそれで、
『水滴りて』という美しい響きの中にも思わず
ハッとするような自身を戒める言葉となって
います。
今年の4月号からこの競書に参加していますが、
だんだん要領が掴めてきた感触があり、提出できる
課題も増えてきた頃でした。
私は毛筆が専門で、硬筆はあまり得意ではなく、
むしろ苦手意識を持っていた、という方が本当の
ところです。
しかしごく稀にペン字でのご依頼もあることを考える
と、硬筆も操れた方が強いので趣味も兼ねて競書に
参加してみようというところから現在に至っています。
ペン字と言っても数年前に初めて知ったつけペンを
始め筆記具は様々にあり、それぞれの扱いに慣れる
必要と、ペン習字にも奥深さを感じます。
しかしそれが駆使できれば作品の幅も広がります。
そう考えると、これはやるしかありません。
筆耕のお仕事と家事の間のすき間時間を利用して、
ちょいちょい、こっそり、地味に硬筆研究(笑)
毛筆と違って手軽に練習もできるから良いですね。
見るに堪えない汚文字も少しはましになったで
しょうか。
毛筆筆耕専門ゆかり筆耕
山岸由賀里
日頃使い慣れていない毛筆での宛名書きには時間も手間もかかります。
書式の面でも先方に失礼のないように正しく書かなければいけないとなると、それだけで大変な作業になると思います。
ゆかり筆耕では個人の方でもご依頼しやすい料金で筆耕依頼を受け付けておりますので、原稿の内容や必要とする枚数など、どうぞお気軽にご相談ください。
筆耕以外に関するお問い合わせには返答致しかねますので、予めご了承ください。
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