ゆかり筆耕のブログ

匠の技に出会う ~都うちわ~

先日の名古屋高島屋にて。
ある製作実演の前でふと足が止まりました。

都うちわ
(※ 額装前のうちわのみの写真を撮り忘れました。)

都うちわ

和紙に細い竹骨を一本一本貼り付ける美しい手さばきに
釘付けになったのです。

『へぇ…そうやって作ってるんですね。』
ド素人感丸出しの私のひと言(笑)

うちわがどのように作られているかなんて考えたことが
なかったので、単純な言葉しか出てきませんでした。

聞くと全てが手作りで、竹骨を作るところから仕上げの
工程までに1年かかるのだそう。

書道でもうちわに書くことがありますが、扇部と柄が
別々に作られていることもこの時に初めて知りました。

30ほどもある工程のごく一部の作業『張(はり)』(骨の
貼り付け)をしているところでした。

都うちわ

千鳥型に切った和紙に100本近い竹骨を、放射状に
目見当で並べて
貼り付ける作業は、定規で測ったかの
ように骨と骨が等間隔。まさに美しい職人技でした。

そして心地良いリズミカルな動き。

そう言えば、書道は『リズムで書く』と言われ、文字を
美しく書くための大事な要素のひとつでもあるのですが、
目見当をつけて等間隔に書くというのは書の世界でも
大いに必要とされる能力であり、そういった面からしても
世界は違えどどことなく共通するものなのだなと感じたの
でした。

気になった千鳥型7枚ほど(いずれも手描きの絵が施された
窓開きのタイプ)をピックアップして、さぁ、どれにしよう
か迷う迷う迷う…

私は扇部の方ばかりを見比べていたのですが、匠は柄の
部分を指して、柄は樹齢1000年以上の屋久杉を使って
いるのだと言うのです。

千鳥型の柄は、扇部共にふたつと同じものは無いわけ
ですが、最終的に3つに絞ってその中からこのひとつを
選んだポイントは『年輪』でした。

都うちわ 年輪

よく見ますと年輪が細かく複雑であることがわかると思い
ます。
(※匠の前で口には出しませんでしたが、バウムクーヘン
(あえて『治一郎』)を想像していました☆笑☆)

治一郎バウムクーヘン

緻密な木目は見た目にも美しく、屋久杉としての評価が
高いのだそう。

さりげなく価値の見極め方をご教示くださり、年輪が複雑で
細かく一番美しいこの娘を連れて帰ることにしました。

見た目からして一般的な大きさのうちわよりはるかに
大きいので、それなりに重みがあるのだろうと思いきや、
持ってみると意外に軽くて手になじみ、しっかりと大きな
風が来ることに驚きます。

テレビや映画で見るような(←想像ですが)、せわしなく
あおぐ必要はなく、軽やかににあおぐだけで心地良い風で、
またその姿には風流な趣があり見た目にも美しいに違い
ありません。

都うちわ 窓開き

窓開きもまたより一層風雅で、実用的にも装飾的にも優れ
ていることがわかります。

現在よくあるプラスチック製のうちわの無駄に重たいが
ために道理で手が疲れるのは、やはり粗悪なのでしょう。

いつもお世話になっている額縁のタカハシさんへ、購入後
すぐに額装依頼に出しました。

うちわの背景には、書道作品でもよく用いる緞子(どんす)を
使用していますが、もってくる色合いなどによって作品の
見え方も変わってくるので、そのあたりが少々悩みましたが、
さすがは長年の実績と豊富な経験でいつも適格なアドバイスを
してくださり、こちらの朽ち枯葉色の緞子にしました。

緞子の色あい、柄共に思い描いていた通りで全体的にとても
雰囲気のある仕上がりになりました。

安心してお任せできるのと、やはり実直な仕事ぶりにはいつも
脱帽です。

緞子 

しかしうちわの作り手の意向からして使ってこそというのが
本望であろうことを考えると、本場の夏を迎える前に額装に
してしまったのは早計だったかも知れないと思う一方で、
美しいままにしておきたいという私の思いとの狭間で揺れて
いたのも事実であります(苦笑)

丁寧に手を抜かずに美しい伝統を守る

どんなに文明が進んでも、手仕事の美しさには絶対的な
価値があり不変であると信じてやみません。

私も長く筆耕の道におりますが、同じ伝統に携わる者として
改めて身の引き締まる思いです。

世界は違えど伝統を守りたいという職人としての思いは
同じなのですね。

うちわを買って帰宅後にわかったのですが、この都うちわ職人、
加藤照邦さんは今や関東では唯一なのだそうです。

そんな貴重な存在の方だったとは!!
恐れ入ります(苦笑)

都うちわ

毛筆筆耕専門ゆかり筆耕
山岸由賀里

 

 

 

 

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都うちわ

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